総長室

平成27年度孔子祭 記念講演会 講演録

創立120周年に向けて東日本国際大学はどうあるべきか
創立120周年に向けて東日本国際大学はどうあるべきか
 東日本国際大学学長の吉村作治です。エジプト考古学専門です。本年4月1日より現職にあります。どうぞよろしくお願いいたします。本日朝の孔子祭の神事と緑川理事長のご挨拶は素晴らしいものでした。私は60歳になった時、何か日本に貢献しなければと2つのことをやろうと決めました。ひとつは日本の祭りのアーカイブで、もうひとつは、eラーニングの日本での普及です。何故エジプト考古学者が日本の祭りをするのかと思われるでしょうが、実は日本の祭りの起源は古代エジプト文明でした。今から5000年も遡ることが出来ます。古代エジプトの祭りには、ご神体、本宮、神輿、神楽、相撲、綱引き等の祭りの余興もあります。これ以上は、本日の演題と関係ありませんので、述べませんが、別に改めてこの話はしたいと思います。
 次にeラーニングの普及ですが、今や世界の高等教育ではeラーニングが常識になっているにも関わらず、日本では普及していません。その為、2008年にサイバー大学という完全インターネットのeラーニングの大学を作りました。少し時期が早かったせいか、大成功とはいきませんが、今も大学は続いております。私は2011年でいろいろな事情から学長を辞めました。そして2012年に本学の理事長緑川浩司先生と出会い、本学にお世話になることになりました。歳は取っていますが、本学では新参者です。
 本学、そうです、「ひがしにほんこくさいだいがく」とおっしゃる方が多くいらっしゃいますが、Higashi Nippon International University となっております。必ず「にっぽん」と発音してください。
 話をもとに戻しますと、学校法人昌平黌は2013年に創立110年を迎え、2023年に創立120周年を迎えます。来年は短大が50周年、大学が20周年です。とても長い、恐らく日本でも年月の長さからも10指に入る名門大学です。しかも儒学を建学の精神としている大学としては、日本でも唯一の大学です。
 さて、本日の孔子祭第2部のご挨拶の田久昌次郎学長のダイナミックな地球の歴史のお話も素晴らしかったですし、その後の講演1のイ・キドン先生の儒学、儒教のお話も大変素晴らしく勉強になりました。特に「仁」の話は今までの「仁」の解説のどれよりもわかり易かったです。私もこの後、「仁」の話をさせていただきます。
 まず改革の第一歩がおこなわれました。それは学部名を2学部とも変えることが最近文科省によって許可されました。経済経営学部を、経済経営学部へ、健康福祉学部を健康福祉学部へです。理由は、まず、本学で考えている内容が現在の社会のニーズに答えているものだと、入学希望者にわかってもらうことです。その点、現在の学部名である経済経営学部も健康福祉学部も「No」でしょう。
 まず、経済経営学部ですが、経済理論は大切ですが、それが主である時代は終わり、今はそれをベースに社会におけるマネージメント、すなわち経営学の時代です。また、情報ですが、それには2つあって、ハードとソフトです。本学はどっちかというと、ハード、技術面の教科が多いので、今さら情報はいらないと考えたためです。
 健康福祉学部は普通、環境学という自然環境や人間環境、そしてその関わり合いを学ぶものなんですが、本学は主に福祉の環境、すなわち器具や設備を考えているので、これは福祉という体系に入っているものです。それに福祉を考える前提に本来健康を考えなければなりません。よって健康福祉学部と名称を変えました。
 しかし、直近には、今のカリキュラムや授与学士名などには変更ありません。それは、改革というより、創世なのです。「そうせい」といいましても、今の政府が言っている、生まれるの「生」ではなく、世界を創るという意味の「世」です。しかし、これを手始めに見違えるような大学へ変わるつもりです。私が理事長に「120周年までには、大学ランキング100位以内に入るよう頑張ります」と申しましたら、「目標が低すぎる、日本一になるくらいの気概がなくてはだめだ」と言われてしまいました。よって、創立120周年に向けていくつかの提案をさせていただきます。皆さんと力を合わせて頑張りましょう。
 さて、学校法人昌平黌には、現在、幼稚園、中学校、高等学校、短期大学、四年制大学とあります。教育の一連性という点では、小学校と大学院の設立もひとつの課題ですが、それはちょっと置いておいて、四年制大学についてお話させていただきます。
 さて本学が世界に日本にいや、いわき市に存在すること、また存在する意味についても120周年を迎えるにあたって再考しなければならないでしょう。しかしそういった理念や哲学のことを考えるのも大切ですが、本学が120周年を迎えるにあたってどう変わるべきかについて具体的に考えなければならないのです。  まず、改革の要点をインデックス的に6つあげてみます。
  • 就職率100%の次は就職質の向上を考える
  • グローカル人材の育成
  • 地域貢献に徹する
  • スポーツ・芸術の振興を計る
  • 本学に関わる人の意識改革
  • 人間力のさらなる向上を計る
です。
 それでは、ひとつひとつ何が問題でどうかえていくかを述べていきます。
1.就職質の向上
 まず、本学は就職率100%を誇っています。そして卒業生たちは公務員、教員、一流企業へと就職しています。ここでもうひとふんばりして、就職質の向上を計りたいのです。勿論公務員になるとか、国連やユネスコなど公的機関の仕事につくとか、教育関係の仕事、金融業を始め、いわゆる優良企業に入ることも、質の向上ですが、一流企業の中には労働条件が悪いブラック企業もありますので、気を付けなければなりません。すなわち仕事をするという本来の意味をしっかり考えなければいけないわけです。給料が高く、休暇がとり易い、保養施設が完備されているといった労働条件の良さも大切ですが、自分がこの会社で何をやりたいか、何をやらなければならないかを考えて、会社選びをしなければならないのです。私は「この会社が自分がやりたいことが出来るか」を考えるべきと思います。
 即ち、会社選びのコツは、行きたいところへ行く、行った企業が卒業生を大切に扱ってくれる、そして定年までいることが出来る等、質の確保をすることです。その為には、いわき市の企業と情報交換を行いながら、必要な人材を示してもらい、それを本学の教育に反映していくことが第一です。また、学生が就職希望の企業に積極的に入社出来るように、資格を取得してスキルアップ、キャリアアップを行い、企業から要望される人材になれるよう、資格取得支援講座をeラーニングで用意しました。そして、今後もそういった科目を増やしていくつもりです。またキャリアセンターの他にエクステンションセンターを強化し資格取得支援に力を入れます。特に公務員、教員になる学生の支援体制も向上させるつもりです。
 このことが「入り」即ち、本学を選ぶ立場の高校側の本学への魅力となり、本学入学希望者も増えますし、現在の学生諸君も自信を持って自分の出身高校の後輩に胸を張って本学入学をすすめることが出来るようになるのです。
 いわきに生まれた人は、小・中・高・大といわきで教育を受け、いわきの企業に就職し、そこから世界へ飛び出すグローバル人材になることです。これこそ教育現場と就業現場がウィンウィンの関係になるというものです。こういった努力が外に見えるようになると、いわき市内の高校の本学への評価が高くなり、入学希望者が増えることに結びつくでしょう。それ以上に、私たちの付属である、昌平高校からも今以上の入学希望者が増えることと確信いたします。
 今の大学入学希望者の最大の関心事は大学卒業後の就職先で、そこが安心且つ安全な、そして希望を叶えてくれるところを望んでいるからです。そして、現在の就職環境の好調さはいつまでも続くものではなく、また一時的なものを安心しすぎないように、学生への指導を強化するつもりです。
2.グローカル人材の育成
 本学は国際という名のついた大学です。その名の通り、国外からの留学生は日本でも有数を誇っています。しかし、日本人学生の国外留学が今一つ進んでいません。その為、平成28年度、29年度に行われる予定の「福島浜通りグローカル人材育成プログラム」に参加したり、「グローバル人材検定」の導入、グローバル人材育成プログラムへの参加など制度を利用したり、独自のプログラムを開発したり、本学の仕組みを整備します。そして、本学学生の海外への留学願望の意識を高めるつもりです。
 グローカルという言葉は聞きなれないので、グローバルを言い間違えていると思っている人がいらっしゃると思いますが、実はグローバルとローカルを合わせた日本にしか通用しない造語です。意味は、ローカルな気概を持ち、ローカルで活動しているが、グローバルな意識と実力を持っている、という意味です。
 グローカル人材と一言で言いますが、英語が出来るだけではダメです。グローカル人材とは、各国各地域の歴史、文化、風習、宗教、芸術、技術など社会的な観点から理解し、その国、地域のリーダーと相互交流が計れ、マネージメントが上手に出来る人材なのです。その為、まず既存の学部でそのような人材を育てるとともに、創立120周年までには、グローバル人材育成専門の学部を設立したいと考えています。そして、いわき市で生まれ、いわき市でグローバル人材育成の教育を受け、いわき市の企業に勤めた人材が、世界に羽ばたくというのが、本学の理想とするものです。
 もうひとつ学生に世界を見てもらえる方法があります。それは、教員が海外の調査を行うとき、連れて行く方法です。そういう意味で2014年9月に本学内に創った、エジプト考古学研究所は、それにぴったり当てはまるものです。同研究所が早稲田大学エジプト学研究所と共同で行っている、古代エジプト調査隊(隊長 本学学長吉村作治教授)は、文部科学省の科学研究費を受け、本学学生の準隊員として参加できます。また同じくエジプトで行っている「太陽の船復原プロジェクト」もNPO太陽の船復原研究所と共同調査(隊長 黒河内宏昌本学客員教授)を行っていて、これも科学研究費に採択されていて、本学学生も準隊員として参加出来ます。いずれも、費用は調査隊持ちです(アルバイトではないので、ギャラは出ません)。こうした海外調査をする研究所が増え、多くの学生が参加出来るようになるのが、理想的ですので、本学教員に頑張ってもらうようにします。
3.地域貢献
 いわき市に存在する本学は、いわき市民及びいわき市内の企業に教育、文化、芸術、スポーツ等にボランティア活動やインターンシップ、イベント参加などで地域貢献をしなければなりません。特にいわき市の企業の10%以上が後継者不足に悩んでいます。それらを教育上、すなわち人材育成の面でバックアップしなければなりません。その為、学内に地域振興戦略研究所を設立し、学内学外から研究員をつのり、現在どのような方向性を持つべきかを研究会などを開きながら、検討しているところです。
 身近なところでは、ぴあ主催のPIT劇場がいわき駅近くに出来るので、そこでの活動に本学学生が参加することから始め、いわき市の支所や町村に出向き、地域のニーズを調査する活動も行っています。本年の鎌山祭りには、江名町のブースも出品し、特産物をアピールします。地域社会と密接な関係を築くことで、本学の卒業生の受け入れもスムーズに行われ、またいわき市及びその周辺の町村の活性化にも役立ちます。そして、若者の地域からの流出を食い止め、この地域発展のもととなるわけです。これがいわゆる、「出」の戦略でもあるわけです。
4.スポーツ・芸術振興
 本学は幸いにもスポーツが盛んで国体へ出場したり、全日本選手権に出られる種目が多くあります。また、芸術も吹奏楽団が国レベルの水準に達しています。これらに関わる学生が心置きなく安心してスポーツや芸術に力を入れられるようなカリキュラムや行事を考える時が来ました。スポーツ、芸術系の学生は試合や演奏会、発表会でやむなく授業を休まざるを得ないケースがあります。出欠は公欠制度がありますので、一応救済はされていますが、学習の本来の形を考えますと、授業を受けないことは学生にとってある意味損失となります。
 それを防ぐ方法はeラーニングハイブリットダブルフェイズ型授業です。対面授業は行なわれていて、通常学生は出席していますが、試合や演奏会でやむなく欠席しなければならない時、合宿所や家でeラーニングによる授業が出来るというわけです。これによりスポーツ、芸術系の学生は学習チャンスということでの不利益はなくなり、しいては欠席ゼロの大学への道を進むことが出来るのです。
5.本学に関わる人の意識改革
 本学を良くするということです。その構成要素の改革です。本学の構成要素とはまず、学生です。次に教員と法人職員、そして校舎と続くわけです。学生から話していきましょう。学生は、入学当初、学力や人間力、スポーツ力などいろいろな面でバラつきがあります。それはそれでいいのです。大学としましては、このバラつきを少しでも是正し、よりステップアップして、卒業後社会人としてやっていけるように育成するわけです。
 まず、その第一歩として、入学者全員に高校の初歩の英語と国語等の試験をし、そのレベルをみます。そのレベルが標準以下の学生は、入学後、リカレント教育を必須とし、1年間で高校卒業程度の学力まで到達してもらいます。それを前提に教養や論語、ゼミや専門へと学びを行っていってもらいます。そして、カリキュラムを整備し、卒業後社会で即役に立つ実践的な学生に育ってもらいます。
 孔子様の「性相近く、習い相遠し」(生まれつきは皆そう変わらなくても、その後の学習の仕方で大きく人は変わるものだ)の思想を実行します。
 次に教員です。本学の教員はそれなりの学校歴を持ち、教育歴や社会での経験歴もお持ちの立派な方が多いと思いますが、どうも研究の面での活動が不足のような気がします。勿論、カリキュラム上、教える科目が多く、研究に割く時間が少ないという方もいらっしゃるようですが、それは本末転倒です。
 と言いますのは、大学教員は教員資格はありません。その教員としての資格は研究業績です。ですから、研究をしない大学教員は本来不必要なのです。もっと言えば、大学にいては研究をしなくてはならないのです。ですから、なるべく早い時期に「大学年報」に教員個人が前年度どのような研究実績をあげたかを自己申告して頂き、大学側がその方が本学の教員としてふさわしいかを判定させて頂きます。研究には資金が必要です。しかし残念ながら、本学は私立大学ですから、個人研究費でその方の研究資金を全てまかなうほど裕福ではありません。そこで、文部科学省の科学研究費やその他財団の研究費助成金を取らなければならないのです。いわゆる競争的研究資金の外部調達です。少なくとも科学研究費は必ず各人申請していただきます。申請によってご自分の研究テーマの再確認が行なわれますし、将来像も見えてきます。
 そういったことの達成のため、今、行なわれていますカリキュラムの再検討と整備を行います。
 次に法人職員についてです。幸いなことに本学の職員の方は優れています。しかしそこで満足し停滞するのではなく、一歩でも二歩でも学校法人昌平黌が前進、発展するように自分の仕事の確認と仕事の発進力の強化につとめて下さい。法人役員につきましては、今で十分ですが、学校法人全体のレベルアップのためよき施策を行って下さい。今、文部科学省は法人幹部のリーダーシップのパワーアップを期待しています。しかも現在日本に存在している700校をこえる大学がこのまま少子化傾向にある我が国で全て生き延びるとは思えません。生き延びるためには、学生、教員、職員が一体となって力を合わせていかないと駄目です。
 そして、校舎施設の件ですが、この件は経営上の問題がありますので、私の口からどうのこうのと言うことは出来ません。しかし近々2号館が建て替えられるとのことです。新1号館は理想的な建物で、特に女子トイレはパウダールームも付き、着替えのスペースもあります。きっとこれからも施設のリノベーションと共に整備が行なわれ、学び易い環境となるでしょう。またキャリアセンターやエクステンションセンターも学生諸君が立ち寄り易く、また立ち寄りたくなるようなものにしていきます。本学は私立大学ですから、財政的にも必ずしも恵まれていませんが、現在幼稚園を含めて環境整備は着々と行なわれています。人間は必ずしも外形で判断されるべきではありませんが、見た目も大切です。それが理由で入学者が増えた例もありますので、法人としてよく考えて頂きましょう。
 以上、学生、教員、法人職員の意識改革が少しでも早く行われれば、日本一への大学への道は開かれます。本学の理想は普通の子を大変出来る子にして世に送り出すということです。私たちの理想は「ゆりかごから墓場までを教育し、人々には学んでいただきたい」と考えていますので、今はない小学校や大学院の創設も視野に入れる努力をしています。
6.人間力
 最後に大学の建学の精神「儒学」の影響が行きわたることにより学生のひとりひとりの人間力は高まっています。しかし、理想には、終点がありません。儒学の真髄「仁」の理解には時間と力が必要です。孔子さまは言いました。「人にして仁ならずんば、礼を如何せん。人にして仁ならずば楽を如何せん」(人間として仁を失ったとしたら、礼はどうなるのか、人間として仁を失ったら楽をどうするのか。思いやりなくしては約束を守ったり、芸術や人生を楽しんだりしても意味がありません。)
 「仁」という意味は広くそして深いため、明確に把握している人は多くないです。仁という字は人と人とのつながりが複数あるというものですので、言ってみれば人とのコミュニケーションを多く持つということでしょう。人と人はコミュニケーションを持てば、おのずと人を思いやったり、妥協したり、従ったり、主張したり、けんかになったりします。そうしたことを積み重ねていくうちに人は丸くなり、人のことを考えるようになったことを「仁」というのだと思います。綱の目は4つしか足がありませんが、その足が無限になれば面を形成し、強固な絆を作ることが出来ます。本学はそうした状態を学生同志、学生と教員、教員と職員、そして大学といわき市とその周辺の人々と広げていきたいと考えているのです。人間力養成の目的は礼儀正しい人間を作ることだけではなく、心の中から他人を思う人、それを実行する人を育成することなのです。
 さて、ここでもうひとつ考えなければいけないことがあります。「機」という言葉です。「機」とはきっかけとか機会、即ちチャンスという意味があります。このチャンスを生かすというのが、人生の内、とても重要になるのです。しかし、凡人にはチャンスが見えません。一方、チャンスの対語にピンチというのがあります。ピンチとは苦境です。しかもピンチは誰にでもよくわかることです。しかし、凡人はピンチに陥りますと、めげたり、投げやりになったり、しまいには逃げてしまいます。しかしこのピンチこそチャンスが埋まっているのです。いわゆる「ピンチはチャンス」という諺になるのです。本学も幾多のピンチに襲われたと聞きます。しかし、それを全て乗り越えて今日があるのです。本学学校法人昌平黌理事長の緑川浩司先生曰く、「ピンチはチャンスだ!」というのがあるように、今こそ本学のピンチを救わなければなりません。近い将来、本学が日本一に輝くとしたら、今のピンチを乗り越えなければならないのです。
7.追記
 中央教育審議会大学分化会の中では、現在の大学の改革を次の2点に絞って指摘しています。ひとつは、「大学の国際通用性」です。即ち大学における人材育成は、グローバル対応の教育が不可欠であるということです。その中心は学位がグローバル人材育成に沿ったものでなくてはならないということです。
 もうひとつは、産業界が望む人材の育成です。その為本学では遅まきながら、いわき市を中心としている企業に必要な人材像をヒアリングする準備をしています。つまり、産学一体化の試みをしようということです。それと昨今の大学改革の流れは、ガバナンス改革が中心となっていますが、何のガバナンスかが曖昧で、総じて学長権限の肥大化が多く、大学の経営母体である、学校法人の理事長権限が低下しているという指摘がなされていますが、本学は法人の長、理事長の権限は、大学経営、教育関係に於いても抜群なものであり、この面の文部科学省の指摘は当たっていません。
 しかし、理事長、学長共に孤立的な権限集中でなく、補佐体制も整備しつつありますので、経営の体制は揺るぎないものです。
 以上は、2023年の創立120周年までの7年間にやるべき改革の一部です。ひとつひとつを進めていくと派生的に新しい困難や展望が現れます。そうしたことをコツコツとクリアしていきながら、来るべき120周年を迎えたいと考えています。
 私も72歳になりましたが、物理的な年数でなく、精神的な年数に置きかえて、改革に向き合おうと考えていますので、皆さんのご協力をお願いいたします。
 尚、本講演録は講演時10分間の時間削減により、講演中に話せなかった分が加わっていることと、講演中のエピソードやジョークは削除してあることを付け加えさせて頂きます。

東日本国際大学 学長
吉村 作治