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2025年度米国ハンフォード学生福島等研修 修了式を挙行——長崎・広島・福島浜通りとハンフォード地域を結ぶ、友情と学びの3週間

2025.08.12

東日本国際大学は令和5年度より5年間、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」の採択校となり、日米の大学間交流による復興創生事業が始動しました。本事業は、国際的に活躍できるグローバル人材の育成を目指すもので、当事者意識を持った学生たちが、地域課題の解決に挑みます。

 

研修の様子をまとめたショート動画をYouTubeでご覧いただけます。

 

 

 

研修の参加学生と教職員

 

 

8月8日(金)、本学1号館5階第一会議室にて、本事業の中核プログラムの一つである「2025年度米国ハンフォード学生福島等研修」の修了式が執り行われました。本研修は、原子力開発の歴史から生じた課題を共有する福島浜通り地域と米国ワシントン州ハンフォード地域を舞台に、両地域の復興創生に向けた知見を交換し、文理を横断して地域の未来を担う国際的創造的人材を育成することを目的として実施されたものです。米国からは、ワシントン州立大学トライシティーズ校(以下、WSUTC)とコロンビアベイスン短期大学(以下、CBC)の学生7名と引率教員2名、計9名が参加しました。また、東日本国際大学の「地域課題解決学A」履修学生等も研修に帯同し、米国からの留学生とともに長崎・広島・浜通り各地域の復興のあゆみと現在の取り組みについて学びました。

 

石崎芳行特任教授のガイドによる「かわうちワイナリー」(川内村)見学の様子

 

 

修了証授与

式典の冒頭、緑川浩司理事長より、研修に参加した7名一人ひとりに修了証が授与されました。

アレクサンドリア・レデヅマさん(WSUTC)、ステイシイ・ルーさん(WSUTC)、ロメオ・ロスさん(WSUTC)、グロリア・アヤラ・ロドリゲスさん(CBC)、マイア・サントさん(CBC)、エリザベス・メンドーザさん(CBC)、ハサン・クルーズさん(CBC)が、順に証書を受け取りました。

手渡された修了証は、単なる研修参加の記録ではなく、約3週間にわたる挑戦と成長の証であり、福島浜通りから世界へと広がる歩みの象徴とも言えるものです。証書を受け取る学生たちの表情には、濃密な学びと交流をやり遂げた充実感と誇りがにじんでいました。

 

修了証授与の様子=ステイシイ・ルーさん(左)、緑川理事長(右)

 

 

参加学生の挨拶

続いて、参加学生がスピーチを行いました。

 

WSUTCのアレクサンドリア・レデヅマさんは、「日本での滞在を通して、私は想像をはるかに超える体験をすることができました。美しい歴史、豊かな歴史、そして人々の温かさ。それらすべてが私の世界の見方を変えてくれました。ここで気づいたつながりは、これからの人生で大切にしていきたいです。またすぐに、そして今度は家族と共にまた日本に、福島に戻って来たいです」と語りました。

 

アレクサンドリア・レデヅマさん

 

 

CBCのマイア・サントさんは、「日本に来て、私は友情とコミュニティの大切さをたくさん学びました。たとえば南相馬市小高区のおれたちの伝承館では、福島に暮らす普通の人々が、友人や近所の方、そして見知らぬ人のために立ち上がり、この地域を今日のような美しい場所へと再生してきたことを学べました。また、いわきに来て過ごす中で、私のたどたどしい日本語に辛抱強く耐え、やさしく温かく迎えてくれた友人やホストファミリーの皆様に心より感謝いたします」と、感謝と学びの思いを述べました。

 

マイア・サントさん

 

 

いわき踊り参加の様子

 

 

引率教員の挨拶

ワシントン州立大学トライシティーズ校のロバート・フランクリン先生は、「この場でご挨拶できることに心から感謝いたします。私自身が学生時代に日本を訪れた時のドキドキを思い出しつつ、今回の経験が学生たちにどのような影響をもたらすのかとても楽しみにしていました。実際、広島・長崎という場に立ったことは非常に強烈で、心を揺さぶられる経験となりました。ハンフォード・サイトの歴史家としては、その歴史を語る際の新たな視点を得るきっかけとなりました。福島県浜通りでは14年前の悲劇を今に伝える記念碑や伝承館、そして希望と再生への努力を象徴する場所を訪れ、復興に尽力してきた方々にお会いできる幸運に恵まれました。特に請戸小学校では、津波が迫り、地域社会が崩壊の危機に瀕する中で勇敢に行動した小学生たちのことを想い、思わず涙しました」として、「今回の研修を可能にしてくれたすべての教職員・学生の皆様に心より感謝いたします」と述べました。

 

ロバート・フランクリン先生

 

 

コロンビアベイスン短期大学のライダー倫子先生は、「この素晴らしい経験をありがとうございます。今回の研修を可能にしてくれたすべての教員の皆様、スタッフの皆様に心より感謝いたします。今回の研修ではまず、長崎と広島で核兵器が使用された場合の悲惨さ、そして戦争がもたらす悲劇を学びました。この経験が学生たちにとっても、家族がそばにいることの大切さ、日常にある温かさへの感謝の気持ちにあらためて気づくきっかけとなることを信じています。また、日本の大学の学生の姿勢や、地域を再生させ活性化させる様々な取り組みからも多くを学びました。そして人と人とのつながりが何よりも大切であることを改めて感じました。このような貴重な経験の機会をくださり、すべての関係者の皆様にあらためて感謝申し上げます」と語りました。

 

ライダー倫子先生

 

 

学長挨拶

東日本国際大学の中山哲志学長は、「アレクサンドリア・レデヅマさん、ステイシイ・ルーさん、ロメオ・ロスさん、グロリア・アヤラ・ロドリゲスさん、マイア・サントさん、エリザベス・メンドーザさん、ハサン・クルーズさん、そして引率されたロバート・フランクリン先生、ライダー倫子先生。素晴らしいスピーチをありがとうございました。皆さんのお話を伺って、現場で学ぶことの大切さ、日本の学生とアメリカの学生が一緒に学ぶことの大切さを改めて感じました。皆さんがアメリカに帰られた際には、日本で学ばれたことをぜひ同じ学生たちにも伝えてほしいと思います」と述べ、研修で得た経験を次世代へつなぐよう期待を寄せました。

 

中山哲志学長

 

 

理事長挨拶

学校法人昌平黌の緑川浩司理事長は、「まず、皆さんの顔を見て、この研修が大成功だったことを確信しました。また皆さんの言葉の中でよく使われた言葉をメモしていて、『ありがとう』という言葉が最も多かったことに気がつきました。ありがとうは魔法の言葉です。言う側も言われる側も幸せと勇気をもらうことができます。それこそがイノベーションの源なんです。感動と感謝のないところには発展もなければ、イノベーションも起きない」と感謝の言葉の力を強調しました。さらに、「浜通りは津波・地震・原発事故・風評被害という四重苦を経験してきました。14年を経て分かったことは、苦労と苦難こそが人間を成長させるということです。ハンフォード・サイトのあるトライシティーズは、数十年に及ぶ除染作業などの困難を経て今日の繁栄があります。浜通りは現在、復興に向けてさまざまな課題に立ち向かっている最中です。今後も、二つの地域の学生同士が友情を結び合い、お互いについて学びあうことで生まれる化学反応を楽しみにしています」と述べ、両地域の絆と未来への希望を語りました。

 

緑川浩司理事長

 

 

未来へ続く国際交流

今回の夏季インバウンド研修は、座学や観光にとどまらず、被災地の現場に立ち、地域再生に関わる人々と直接交流することで、教室だけでは得られない深い学びを提供しました。学生たちはこの3週間で培った知識と友情を胸に、帰国後も福島浜通りとハンフォードを結ぶ架け橋として、それぞれの地域と世界の未来に貢献していくことでしょう。

 

長崎市出島での日本文化(浴衣)体験

 

 

今後とも、本学の挑戦と学生たちの飛躍にご注目いただけましたら幸いです。

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