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新着情報本学の学生が龍谷大学と共同で福島第一原発を見学しました
2月7日(金)、本学の学生が龍谷大学(本部:京都府京都市)の学生とともに東京電力福島第一原子力発電所を見学しました。今回の合同見学は、本学と龍谷大学との震災以降の教育・研究交流の一環として実施されたもので、当日は東京電力廃炉資料館(富岡町)での学習や原発構内の見学を通じ、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故後の現状と廃炉作業の進捗などを直接学ぶ機会となりました。
原発構内の「ブルーデッキ」から臨む原子炉建屋(左側から2号機・3号機・4号機)
■当日のスケジュール
見学に先立ち、東京電力廃炉資料館へ集合しました。廃炉資料館では、福島第一原子力発電所事故の概要や発生当時の対応、現在の廃炉に向けた取り組みなどについて、東京電力の担当者からのレクチャーや映像資料などを通じて学習。その後、原発構内での安全管理について説明を受け、構内の見学を行いました。
廃炉資料館で他の参加者たちとともに担当者から説明を受ける学生たち
今回のルートでは、1~4号機を至近で臨むことができる「ブルーデッキ」、増設された多核種除去設備(ALPS)エリアや汚染水・処理水を保管するタンク群などを見学。個人線量計の貸与など厳重な安全対策のもと、実際の廃炉作業の進捗状況や被ばく管理の実情、ALPS処理水の取り扱いなどを間近で確認しました。最後に身体スクリーニングを行い、廃炉資料館へ戻って質疑応答とアンケート記入を実施し、見学を終えました。
「グリーンデッキ」からはALPS処理水関連設備や5・6号機建屋を臨むことができる
■参加学生の声
今回の見学には、東日本大震災当時は幼かった学生、福島県いわき市出身の学生など、さまざまな背景をもつ3名も参加しました。以下は参加学生のレポートからの抜粋です。
●経済経営学部1年・女性
「震災当時はまだ幼く、近くの小学校の体育館での避難生活が続くなか、ニュースで福島第一原子力発電所が水素爆発をしたと報道されていたものの、幼い私は何が起きているのかがよく分かりませんでした。現在、ALPS処理水に関しては、報道では不安をあおるような内容が目立つと感じていましたが、現地で詳しい説明を受け、安全面での取り組みが徹底されていることを知ることができました。東日本大震災で起きた原発事故は、世代や住んでいる地域によって感じ方・とらえ方が違うのだなとも改めて思いました。」
●経済経営学部2年・男性
「福島で育った自分にとって、廃炉への道のりがいかに長く、また作業員の方々や地元の人々が大きな責任を背負い続けているかを改めて感じる機会でした。今後何十年にもわたって廃炉作業が続き、世代を超えて取り組まねばならない現実を、未来へどう伝え守っていくのか考えさせられました。いつか当事者がいなくなって、事故のことが書類上だけのものになり、形だけの反省と誠意になっていくことが私は何よりも怖いことだと思います。実際にあった、原発事故という悲惨な出来事と、そこから険しく長い道のりが続いていくことを後世に伝えてほしいと心から思いました。」
●経済経営学部2年・男性
「映像や写真で見ていたより現場は広大で、事故による損傷や散乱しているがれき、敷地内に積まれたタンク群など想像以上でした。廃炉作業やALPS処理水の管理もそうですが、実際に働く方々の苦労を知り、あらためて安全に対する丁寧な取り組みに感謝するとともに、自分も正しい知識を得て周囲に伝える重要性を感じました。この学びをもっといろんな方に伝え、また自分でもさらにこのことについて学ぶ必要性があることを実感するなど、今回の見学は貴重な経験でした。」
1号機建屋と上部が解体された「1/2号機排気筒」
■龍谷大学との連携について
龍谷大学との教育・研究交流は、東日本大震災直後の2011年から継続して実施されており、これまで本学のブログ記事等でも紹介してまいりました。
「本学と龍谷大学(滋賀県大津市)学生が共同で企画運営した「いわき復興物産展」を開催しました」(本学ブログ記事)
http://shk-ac.jp/blog/hiu/2011/12/post-126.html
「龍谷大学のみなさんが来学されました。」(本学ブログ記事)
龍谷大学が毎年行っている「フクシマ実践的広報プロジェクト」では、担当教員の築地達郎准教授(情報社会学)のもと、学生たちが福島の現状を実地で学び、本学の学生と意見交換を重ねながら復興や地域課題について理解を深めています。今回の見学も、そうした長年の取り組みの一環として実現しました。
「フクシマ実践的広報プロジェクト」(龍谷大学)
■今後に向けて
本学では、被災地である福島県浜通り地方に立地する大学として、震災や原子力災害の課題を「風化させない」「正しく伝える」ための実践的な学習の機会づくりを継続しています。今回の見学に参加した学生は、現地を直接見ることで得た経験を今後の学びや情報発信に生かしていきたいと話していました。
今回の合同見学のような実践的な交流プロジェクトは、他大学の視点を取り入れながら学生間の交流を深め、地域の実情を広く共有する貴重な機会となります。本学はこれからも、福島県浜通り地方の地域復興や防災・減災の取り組みを進めるとともに、引き続き国内外の大学や団体との連携を強化するなど、学生たちが主体的に学ぶ場を積極的に提供してまいります。
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