IRセミナー「学生の多様性――IR担当者はこの難問にどう立ち向かうか」を実施しました。

IRセミナー
「学生の多様性――IR担当者はこの難問にどう立ち向かうか」
‘Student Diversity: a Great Challenge Facing Institutional Research Officers’
米国オースティン・コミュニティカレッジ スーン・マーツ副学長

日時 2017年1月25日(水) 16:30-17:45
場所 福島県いわき市 東日本国際大学 1号館101教室
(講演等は英語に逐次通訳が入る形で行われました)

近年、日本の大学でも、主に教育活動に重点を置く形で、数値的な裏付けとともに、学生の学修経験の向上のための質保証と改良を組織的に進める必要から、急速にIR(インスティテューショナル・リサーチ)の導入が進み、IR専門の組織を設置するところも増えています。
しかし規模の小さい私立大学や、非常に多様な学生に対して学位プログラムを提供している大学では、IRのような労力を有するデータ収集・分析に基づいた活動が、そのコストに見合うだけの学生の学修成果の向上に繋がるのか、懐疑的なところもあるのではないでしょうか。
今回のセミナーでは、米国オースティン・コミュニティカレッジ等で、多様な学生を前に、学生たちが十分な学修成果と共に卒業までたどり着けるように、教職員が有効にデータを活用できるような場を構築するIR活動に精力的に取り組み、成果をあげてこられたスーン・マーツ同学副学長(EffectivenessおよびAccountability担当)来日の機会に、そうした多様な学生を前に、IRには何ができるかという観点に焦点を絞る形で、実際のデモも交えながら40分程度の講演を行っていただき、その後IR実践をされている、あるいはこれから取り組まれる方の間で、率直な質疑応答・意見交換の時間を設け、エビデンスに基づいた教育改革について、重要な知見を共有することができました。

国際シンポジウム「学習者中心の評価文化を醸成する – ICEモデルの現在」 を開催しました。

日本の大学においても、質保証についての要請が強くなっています。他方で、学士力答申を始めとした各種答申・提言に見られるようなコンピテンシー群の育成が求められており、その実現の前提とされる学習者中心の教育への動きは、次期学習指導要領に見られるように大学以前の教育と一体となったものとして描かれつつあります。このことは、大学教育再生加速プログラム(AP)の五つのテーマが平成28年度に高大接続改革推進事業の名前で統合されたことにも見られます。
では、より具体的に、学生と学修成果目標を共有することで学習を導くコースデザインのレベルと、学位プログラム全体のカリキュラムマネジメントのレベルとを、効果的かつ現実的なコストで接続するためには、どのような言語を開発し、用いたら良いのでしょうか。
カナダのクィーンズ大学のSue Fostaty Young博士らが練り上げてきたICEモデルは、彼女の前回の2014年の来日以降、日本においても、大学での各種領域だけでなく、広島県をはじめてとして、中等教育においても中核に据えられるケースが増え、多くの場所と分野で、学修目標=評価の基準を学生と共有しつつ生涯学習し続ける学習者を育てるために活用が進んでいます。このことは、また、ICEモデルが高大連携においても大きな鍵となる可能性があることを示しています。
以上の状況を背景として、本シンポジウムでは、二年ぶりに来日するSue Fostaty Young博士を中心とし、日欧比較を通して教育課程における評価文化の位置付けを行いつつ、日本における各分野でのICEモデル活用の状況の報告を通じて、学習者中心の教育と評価文化を醸成するICEモデルの現状と可能性を総括することを行いました。

シンポジウムのポスターです