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大学の世界展開力強化事業 2023年度「米国ハンフォード研修」結団式を開催しました

2024.02.27

2月26日、本学第一会議室にて、2023年度「米国ハンフォード研修」の結団式が開催されました。

 

 

米国ハンフォード地域は、米国ワシントン州の南東部に位置し、第二次世界大戦中に長崎に投下された原子力爆弾等を製造するために必要なプルトニウムを製錬していた場所です。現在は稼働していませんが、米国で最大級の核廃棄物汚染・処理問題を抱えており、環境回復事業(クリーンナップ)が現在進行中です。

また、ハンフォード地域は、このクリーンナップ事業と並行して、現在では、地方自治体や高等教育機関・国立研究機関と経済発展調整機関が有機的に連携し、経済の発展と人材育成・輩出の好循環を生み出し、都市力のアップと「広域的な住みたいまちづくり」を具現化しています。放射能汚染地区から米国でも有数の繁栄都市(2010年雇用率上昇全米第1位、2013年人口増加率第6位)となった先進地であります。

さらに、経済発展調整機関「トライデック」は、ハンフォード地域の経済発展を担う地元の非営利民間機関で、地域の発展の方向性を議論し、地域間・各ステークホルダーの合意形成を図りながらハンフォード地域の経済発展の中心的な役割を果たしています。

このような観点から、米国ハンフォード地域は、イノベーション・コースト構想や福島国際研究教育機構(エフレイ)をはじめとする福島浜通り地域の復興創生のモデルとなっている地域です。

 

東日本国際大学では、これまでハンフォード地域と二度の国際シンポジウムを開催するなど、米国ハンフォード地域に学ぶ福島浜通り地域の復興創生に係る事業を展開してきました。一昨年9月には、米国ハンフォード地域に位置する高等教育機関(ワシントン州立大学トライシティーズ校、コロンビアベイスン短期大学)と、現地にて、高等教育機関間の連携協力協定を締結しました。また、一般社団法人福島浜通りトライデックは、米国ハンフォード地域に位置する経済発展調整機関トライデックと、同様に現地にて連携協力確認書を締結しました。

東日本国際大学は今年度、地方私立大学としては初めて文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」に採択されました。「未来へつながるコミュニティを創る日米大学間復興創生交流事業」と題する本事業は、本学が福島高専と協力し、令和5年度から9年度までワシントン州立大学トライシティーズ校、コロンビアベイスン短期大学との交流プログラムを実施するものです。

 

今回のハンフォード地域への学生派遣は、本事業の一環として実施するもので、東日本国際大学学生8名、福島高専学生2名の計10名を3月1日から17日までの間、ハンフォード地域の様々な機関等に派遣し研修を行います。

今回派遣される学生10名は、「復興学」の授業を受講するなど、ハンフォード地域に強い関心のある学生が選定されました。現地において、ワシントン州立大学トライシティーズ校では、ハンフォード歴史プロジェクトの学習やワイン科学センターの見学、コロンビアベイスン短期大学では、日本文化クラブとの交流やマルチカルチュアルフェスティバルへの参加などを予定しています。また、ハンフォードサイトに残る原子炉の見学や、ハンフォードの歴史を説明している博物館の訪問、世界的な生産高を誇るポテトチップス工場やワイナリーなどを視察します。学生はコロンビアベイスン短期大学の学生宅等にホームステイして、米国の生活と文化を直接に体得します。

 

結団式では、中村隆行副学長から上記の経緯説明があり、それに続いて、引率の松本優梨国際部長、福島工業専門学校で指導にあたる鈴木茂和教授が挨拶しました。

  

 

その後、参加学生一人ひとりが自己紹介と簡潔なスピーチを行い、最後に、参加学生を代表して、室井駿哉さん(経済経営学部2年)が「中学生のときから英語力を高めたいという気持ちがあり、カナダの高校に留学したが、新型コロナの影響で2年半で帰国を余儀なくされました。その後も海外で経験を積みたいという思いが強く残っていたため、本学入学後も、英国研修や台湾研修に積極的に参加してきました。今回の米国ハンフォード研修も、実施すると知り、すぐに参加を申し込みました。私は栃木県の那須塩原の出身で、東日本大震災では福島県ほどの大きな被害はなく、また当時小学2年生であったこともあり、福島県の被災状況は詳しく分かっていなかった。しかし本学の「復興学」の授業を通じて、原発事故について深く学び、また今月10日には福島第一原子力発電所を見学し、復興の現状と課題について、詳しく知ることができた。今回の研修では、これらの福島の状況をトライシティーズの方々に伝えたい。また、帰国後には研修を通して学んできたことをいわき、福島のために役立つ形で還元したいと思います」と抱負を述べました。

 

         

 

続いて、中山哲志学長が「一人ひとりのスピーチを聞いて、皆さんが大変な意欲を持って参加しようとしていることがよくわかりました。今回の研修は、放射生物質汚染という共通の経験をした人々と接することが一つの目的だと思います。5年間続くプロジェクトなので、あとに続く学生に成果をつないでほしい」と参加学生を激励しました。

 

 

 

最後に、学校法人昌平黌の緑川浩司理事長が「浜通りの復興はハンフォード地域に学ぶべきであるということを日本の関係省庁に説明したのは、本学の福島復興創生研究所所長であった、故大西康夫先生です。復興するためには、ふるさとを再生していかなければならない。そのための人材育成が必要でこれまで様々な取り組みを行ってきました。ハンフォードの問題は、いま世界で問題となっている人口問題、少子化問題、環境問題、戦争問題、そういった問題を共有している。ただ技術を学ぶだけではなく、ボトムアップで100パーセント地域に還元していくという人々の情熱も感じてきてほしい」と述べました。

 

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