福島県産農産物の安全性への理解はどれだけ進んでいるでしょうか。いまだ風評被害という現実は立ちはだかっています。それを乗り越えるには、一歩一歩理解を広げていくことが大切です。
12月15日、福島県農産物流通課が主催する「おいしい ふくしま いただきます」キャンペーンが本学5号館にて実施されました。放射性物質と農産物に関する講演や、福島県産食材を使った料理を実際に頂いて、その安全性の理解やおいしさ・魅力を再認識することを目的とするものです。
最初の講演は、東北大学大学院にて原子核工学を専門に学び、原子力発電環境整備機構理事などを担当されてきた河田東海夫先生です。現在、除染情報プラザのメンバーとして放射線に関する情報発信に尽力されています。講演では、「検査で合格したもの(1kgあたり100ベクレル未満)のみ店頭で販売されており、大部分が検出限界以下という結果が出ています」とデータを基に話を展開され、「現在の福島県では、店で売られている食品を普通に入手する分には食の安全は十分保たれている」ことを強く訴えられました。
会場の参加者が待ちに待っていた料理実演・試食コーナーでは、いわき市出身で代官山「レストラン・ル・ジャポン」のオーナーシェフ・中田耕一郎氏を講師に、福島県産の食材を使った調理が会場内で行われました。メニューは、「天のつぶの人参土鍋ごはん」と「福島県産ヒラメのムニエル グリーンソース」の2品です。今回の食材を提供していただいた、山さと農園の佐藤耕士氏からは「ニンジンはニンジンらしいにおいがするものがおいしいです」といい食材の見分け方も教えていただきました。料理実演にはいわき短期大学の学生2名も助手として参加し、みんなの前で包丁を振るう腕は少し緊張気味でしたが「プロのシェフの料理を間近で見られて勉強になりました」と貴重な経験ができた感想を語ってくれました。アットホームな雰囲気で試食が始まり、参加した皆さんも福島県産の食材のおいしさを再確認した様子でした。
もともと魅力ある福島の農産物。原発事故後も県内の農漁業に携わる人達の努力により、本当に安心して食べられることができます。安全は当たり前にあるものではなく、人の努力の積み重ねであることを忘れず、まずは福島県民の私たちが正しく理解と関心を持つことで風評対策となるのではないでしょうか。