高田豊治サッカー部総監督に聞く 「人材論」

2014年4月に東日本国際大学サッカー部総監督に就任した高田豊治氏にインタビュー。

サッカー部の今後に注ぐ思いと自身が考えるチームや人材育成のポイントを語っていただきました。(このインタビューは、本学の広報誌「CANS通信vol5」に収録されたものです。内容は取材当時のものです。)

 

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個の力とチーム力を同時に高める

・サッカー部総監督に就いてどのような感想をお持ちでしょうか。

2013年10月から高校サッカー部の監督をやりながら大学のサッカー部を見ていました。今年の4月から高校の総監督兼大学サッカー部の監督に就任しました。大学のサッカー部員は一人ひとりいいものを持っています。しかし、まだ基本的な技術レベルが満足できるレベルには達していません。まずはその部分から手を入れていきたいと考えています。

 

・総監督に就いて今、実行し、今後実現したいと考えているのはどのようなことですか。

一人ひとりの能力アップに加え、チーム全体としての力、いわゆるチーム力の強化が必要です。そこでまず皆で分かち合える目標を設定しました。それは東北1部リーグに復帰し、安定的に活動できるようになることです。そのためにまず徹底したいのが基本です。たとえば、ボールを正確にコントロールする技術や、思ったとおりにボールを蹴るなど基本的技術のレベルアップを図ることができれば、それに合った作戦を組んでいくことができます。また、今の選手の能力を伸ばすことと同時に新たな選手を加えなければなりません。人材が集まることでいい意味でのチーム内競争ができていくからです。

 

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地域との関わりがさらにチームを強くする

・人材確保のために大切なことは何でしょうか。

まずは地域との関わりを深めることだと私は思います。たとえば、少し時間はかかりますが、サッカー部のメンバーに地域のサッカー少年団などを指導できるライセンスを持たせ、地域のサッカー振興に貢献できるようにもしたいと考えています。その一歩としていわきの少年サッカー大会をはじめ、設営などにサッカー部員が携わり、地域との関わりを深めていく最初の一歩となったと考えています。地域のサッカー少年たちと関わることで東日本国際大学のサッカー部のことも知ってもらえればと思っています。子どもたちの良き手本になろうという意識もその中で芽生えていくのではないでしょうか。その結果、地元からいい人材が集まり、東北リーグにおいて安定した強さを発揮できるようになれば福島、宮城、山形のサッカー少年からも憧れられるチームになり、さらにいい人材も結集できるはずです。

 

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自立したこころ、他者を大事にする人間性

・監督が心掛けるチーム育成のポイントは何でしょうか。

今、2人で組み、アイコンタクトでパスをする練習をしています。最初は、地味ですぐに飽きてくる練習なので意欲が持てなかったようです。それでも私は繰り返し継続しています。そして実際にこのアイコンタクトからのパスが試合ではうまくいき、得点につながったのです。またアイコンタクトからのパスの徹底によりミスが激減しました。実はこの練習は私がコーチをしていたサンフレッチェ広島の前身、マツダサッカークラブで当時の監督、ハンス・オフトが徹底していた練習です。「アイコンタクト、スピードアップ、パス」が合言葉になるほど最初の1年はその練習を徹底して継続しました。その結果、選手同士の意志が通じるチームになったことを覚えています。このアイコンタクトは、当時一流の選手でもその重要性に気がついていなかった基本です。アイコンタクトによりチームのコミュニケーションの在り方が深まってきます。

 

・一人ひとりの教育に対して大事にしていることは何でしょうか。

メンバーには「自分にとってサッカーとは何か?」という答えを持つようにと話すことが多くあります。その答えがあることで、何かチームで問題があるとしても自分の問題として主体的に関わっていけるはずです。そのためには学生の自主性を大事にしています。大学HPでサッカー部の活躍を紹介しているのですが、その内容も学生に書かせています。内容はチェックしていますが、基本的な文体は尊重しています。もっともっとサッカー部を自分たちの問題として捉えられるようにしたい。その積み重ねがチームという組織を強くしていくと思っています。

 

・サッカー部員に望むことは何でしょうか。

大学の方針とも重なりますが、「人間力」です。サッカーを通して自立した人生、そして他者との絆を大事にしていける人間としての力を養っていきたい。それを念頭にして指導に当たっています。

 

今後のサッカー部の活躍に期待しています。ありがとうございました。

 

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高田 豊治(たかた とよはる) サッカー部総監督

1948年生まれ、広島県出身。1967年東京教育大学(現:筑波大学)入学。在学中はサッカー選手として関東大学サッカーリーグや全国大学選手権優勝などに貢献。全日本学生選抜にも選ばれる。1971年卒業後、1978年まで日本サッカーリーグ1部にてMF及びDFとして活躍。サンフレッチェ広島育成部長、JFA理事、Jヴィレッジ副社長を経て2003年サンフレッチェ広島GMに就任。2014年4月学校法人昌平黌サッカー部総監督に就任。東日本国際大学附属昌平高等学校と東日本国際大学のサッカー部員の指導に当たる。