Yearly Archives: 11月 2019

【健康社会戦略研】設立記念シンポ開催 健康社会の実現に向けて多角的にアプローチしました

本学健康社会戦略研究所の設立記念シンポジウム「みんなのための健康社会づくり~東日本大震災からの真の復興を目指して」は11月30日、本学1号館201教室で開かれ、震災復興と社会、健康社会、救急医療など多角的な観点から市民の健康づくりについてアプローチしました。

同研究所は、地域の健康社会づくりのためのシンクタンクとして今年4月に設立しました。

医療界、地方自治体、地域のニーズに対応した調査・研究を行い、その成果を広く提言し、健康社会づくりのネットワーク化を図ることを第一の目的としています。

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シンポジウムは設立記念として開催され、一般市民、医療・福祉関係者、学生ら約200人が聴講しました。

開会式では、石井正三研究所所長、共催の木村守和いわき医師会会長が医療を取り巻く現状とシンポジウムの意義などを交えてあいさつしました。

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続いて、研究所客員教授である河合雅司先生、畑仲卓司先生、鈴木哲司先生がそれぞれ講演しました。

一番目の講演においては、河合雅司・人口減少対策総合研究所理事長が「震災復興と社会~人口論の観点から」と題し、日本における人口減少・高齢社会の問題と特徴を具体的に挙げ、今後国内の就業者数減少への対策として欧州型の自主都市、小規模町村でのエリアマネジメントの重要性などを述べました。

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次の講演においては畑仲卓司・日本医師会医療安全推進者講座講師が「健康社会の目指すもの」のテーマで、これまで行ってきた福島原発事故や地球温暖化などの研究結果を基に、今後健康社会を作り上げていく上で必要となるものについて述べました。

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最後の講演においては鈴木哲司・日本救急医療士協会会長が「救急医療から見た生と死」と題し、現代社会で死生観の教育が薄らいでいる問題点を提起した上で、これからの社会に必要となるであろう「死生観」「看取り学」の学問領域に関しても話を展開しました。

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いずれの講演も各先生の専門分野からの現状分析をはじめ問題提起、そして課題解決に向けた提言で、今後の健康社会の実現に向けて示唆に富んだ内容でした。

 

午後のパネルディスカッションにおいては、研究所の石井所長をコーディネーターとし、研究所客員教授の畑仲卓司先生、鈴木哲司先生、長谷川学・環境省環境保健部環境保健企画管理課石綿健康被害対策室室長、高萩周作・いわき市病院協議会代表理事、大橋雅啓・研究所特別研究員(本学健康福祉学部教授)にそれぞれご登壇いただきました。

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それぞれの発言要旨は次の通りです。

 

長谷川学先生:日本では出生数は90万人を切っており、確実に高齢化が進展する。地域の縮小化(崩壊)が進むが、どこかにモデルがある、あるいは国や行政に陳情するだけでは何も解決しない。自ら地域課題に住民が参加する社会でなければならない。

 

畑中卓司先生:これまで、政府が代わるたびに様々な国家観や国土計画を打ち出してきているが、この人口減少には対応出来ていない。これまでのような街づくりではなく、自助努力のコミュニティづくりの時代。これからの大学という点では、いわきFCは他のクラブチームと比較すると、とにかく走る練習が多いという。その結果が今回のJFLリーグへの格上げにつながったと聞いた。大学も何か一つ飛びぬけて挑戦するような取り組み、特色が必要ではないか。

 

鈴木哲司先生:過疎化は避けられない。個人の幸福感が重要となる。個人の幸福感が高まらなければ人を救うことも出来ない。心豊かな地域社会をつくるには個人が幸せにならないと。健康社会も同じこと。

また、生きるための教育が必要。例えば、防災は自助、共助、公助だが、実際の災害では自助、生きる力をどれだけ強くするか、がこれからの若者に課せられている。

 

高萩周作先生:いわきでは超高齢化問題が深刻で、平野部ではなく山間部での独居高齢者が問題となってきている。通院、買い物の不便さだけでなく、今後は認知症の増加が予測される。どのように対応するか。医療体制でも医師不足から急性期医療は難しく、慢性型疾患であればそこそこ対応できるが、心臓や脳梗塞などの急性期医療は対応できていない。福島や茨城の大学医学部から、遠い地域で辺境の地。大学の力にも頼れない。ネットワークで乗り切るしかない状況。

 

大橋雅啓先生:広野町と本学ゼミと関わりを持っている。人口4,000人で高齢化が急速に進行する町で、若者誘致の打開策として様々なイベントをするが、若者定住には結びついていない。役場職員が疲弊している。

一方で、町民ではない原発作業員が3,000人も暮らしている。流動人口といえる。このような現状、問題が復興をめざす町には残されている。相双地区の精神医療が崩壊しており、いまだ800人近い人が他の県の精神病院に入っている。精神障害者の地域移行とはいうが、施設を充実するにも医療の問題と切り離せない。いわきの精神医療の充実を図ることが、福祉の充実にもつながる。

 

石井正三所長:いわき市は様々な医療上、生活上の課題を抱えている。かつて日本医師会で、学校で隣にいる人を助ける教育、というのを文科省にも働きかけたことがある。救急的な対応を学校教育のなかでも小さい時から取り入れる、生命の大切さを知る教育が、実は防災にもつながる。

大学として地域の健康をこれからも考える上で、何か飛びぬけた挑戦が必要。この研究所もそのようなところで意味がある。今後も様々な地域の健康のための議論をしてまいりたい。

上記の議論が展開され、パネルディスカッションをとじました。

 

また本日講演をしていただいた河合先生、畑仲先生、鈴木先生への御礼として、いわき市医師会 木村守和会長よりフタバスズキリュウを模したネクタイピンの記念品が贈呈されました。

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最後に、閉会式において東日本国際大学 吉村作治学長、学校法人昌平黌緑川浩司理事長がそれぞれあいさつと御礼の言葉を述べ、盛況、成功裡のうちにシンポジウムが閉会しました。

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法人組織として「ボランティアセンター」を設立 災害危難時により迅速、効果的にボランティア活動を展開していきます

学校法人昌平黌は12月1日付で、「ボランティアセンター」を立ち上げます。10月の台風19号と豪雨による水害でいわき市が甚大な被害を被り、その復旧に際して、本法人にも多くのボランティア活動の要請が寄せられました。

東日本国際大学の強化指定部を中心に率先してボランティア活動を展開し、現在も被害地域、各家庭を回り復旧活動を続けています。

従来、本学では地域連携研究センターの活動の一環としてボランティア活動を実施してきましたが、さらに強化するため法人組織の一つとして「学校法人昌平黌ボランティアセンター」を設置しました。

辞令交付式が11月28日、本学で行われ、緑川浩司理事長がボランティアセンターの構成員一人一人に辞令を手渡し、「地球温暖化で今後も災害・水害が頻繁に発生するおそれがあります。法人組織としてボランティアセンターを設立し、危難時により迅速、効果的にボランティア活動を展開し、地域の要請と社会貢献に努めてほしい」とあいさつしました。

今後は、災害発生時のボランティア活動をはじめ、そのための事前準備とトレーニング、ボランティア関係機関・団体との連携・調整、併せて活動時のリスク管理も図っていきます。

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□ボランティアセンター構成員

▽センター長=小山敏治(理事長室長) ▽主幹=佐藤佳祐(柔道部助監督) ▽幹事=高田豊治(サッカー部総監督)大関貴久(柔道部監督)千葉陽子(バドミントン部監督)田久二三男(卓球部監督)白石吉徳(弓道部監督)仁藤雅之(野球部監督)石川恭久(学生部係長)高橋功祐(いわき短大講師)平子妙子(附属中学教諭)夷塚陽子(附属高校教諭)

「人間力の育成」で株式会社ニトリホールディングス代表取締役会長兼CEOである似鳥昭雄氏が講演

東日本国際大学の全学共通授業「人間力の育成B」において11月13日(水)、株式会社ニトリホールディングス代表取締役会長兼CEOである似鳥昭雄氏をお招きし、「リーダーが育つ55の智慧」とのタイトルでご講演を行っていただきました。

 

似鳥昭雄氏は23歳の時に似鳥家具卸センター北支店を創業され、その後、半世紀を経てニトリグループをグローバル企業へと成長させました。ご講演の中では、どこまでもお客様のために良い商品を提供していくという方針の下、ニトリグループが多方面で展開されている事業についてご説明をいただきました。後半はリーダーとしての心得や経営に関する考え方についてお話をいただき、ロマンやビジョンを大切にしながら、常に現状を否定して新しいことを創造していく姿勢の大切さについて、ご自身の経験も交えながらわかりやすくご講義をいただきました。

最後にはこれから社会に出ていく学生に向けて「何事も恐れずに挑戦していって欲しい!」と呼びかけられ、学生も真剣な眼差しでご講義に耳を傾けていました。

 

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【福島復興創世研究所】米国・ハンフォード地域の研究・専門家「マーク・トリプレット氏」を招聘 公開セミナー「米国ハンフォードの知見に学ぶ福島の復興創生」などを開催

【招聘期間】令和元年11月5日(火)~令和元年11月8日(金)

 

【メンバー】福島復興創世研究所

所長代行 中村 隆行 副所長 石崎 芳行

所長代理 草野 幸雄 事務担当 松本 梨奈

 

【マーク氏招聘の経緯】

今年度、福島イノベーション・コースト構想推進機構の「大学等の復興知を活用した福島イノベーション・コースト構想促進事業」に、東日本国際大学福島復興創世研究所の「日本版ハンフォードモデル構築による福島復興創生」事業が採択されました。

事業の採択に伴い、今年7月に本研究所メンバーが4日間米国ハンフォード地域を視察してまいりました。事業の一環として今回、ハンフォード地域の研究・専門家であるマーク氏を招聘し、現地視察・セミナーを実施しました。

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【マーク氏プロフィール】

マーク・トリプレット氏…アメリカ・メリーランド州アナポリス出身。ワシントン州ハンフォード地域に位置する国立パシフィックノースウエスト研究所(PNNL)のシニアアドバイザーを務める。専門はリスクマネジメントと政策決定科学であり、研究所在位は36年間に渡る。2013年には環境省の招聘を受け、3カ月間にわたり汚染土処理を調査研究・指導助言をされた。また、日本からハンフォードへの全ての視察団をコーディネートし、その数は30以上の団体・約250人に及ぶ(うち国会議員8人を含む)。都市形成と経済発展の案内役を務めており、日米の廃炉と経済創生にも精通している。

 

【スケジュール詳細】

11月5日(火)

午前11時:学校法人昌平黌 緑川理事長 表敬訪問

滞在スケジュールのまず初めに、本法人の緑川理事長を表敬訪問しました。福島復興創世研究所が創設された経緯や米国ハンフォード地域など、多岐にわたって盛り上がりながら歓談されました。

午後1時30分:いわき市 清水市長 表敬訪問

次に、いわき市の清水市長を表敬訪問しました。台風19号と大雨に伴う災害によりいわき市は甚大な被害を受けましたが、災害対応の合間を縫って清水市長自ら対応してくださいました。東日本大震災からのいわき市の復興状況やハンフォード地域の発展経緯などについて、多くの意見を交換されました。

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11月6日(水)

午前10時:楢葉町復興担当職員へのインタビュー

各首長のみならず、実際にこれまで浜通りの復興の実務に携わってきた職員から直接お話を伺いたいとのマーク氏たっての希望により、楢葉町の復興担当職員へのインタビューが行われました。

復興推進課の猪狩課長をはじめ、総務課・磐城課長、産業振興課・片山課長、住民福祉課・松本課長から多岐の分野にわたってお話を伺うことが出来ました。

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午前11時45分:NPO法人ハッピーロードネットとの面会

「福島の未来を拓く若い力を育みたい」、そんな思いから地元の高校生と共に各国を視察するNPO法人ハッピーロードネットの皆様と面会しました。これまでにベラルーシ共和国や英国セラフィールドを視察し、今後は米国ハンフォード地域への視察も企画しているとのことで、マーク氏との意見交換に話が弾みました。

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午後3時30分:公開セミナー(1日目、東日本国際大学)

「米国ハンフォードの知見に学ぶ福島の復興創生」と題した公開セミナーを実施いたしました。はじめに学校法人昌平黌の緑川理事長から代表挨拶がなされました。続いてマーク氏から約1時間の講演があり、その後の質疑応答では参加者から非常に多くの質問が出ました。米国ハンフォード地域の先進事例をいかにして浜通り地域に適応することが出来るのか、そのヒントを多く得ることが出来たセミナーとなりました。参加者はいわき市や経済産業省、医療関係者、東京電力復興本社をはじめ一般市民など幅広く、約60名の参加でした。

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11月7日(木)

午前10時:広野町 遠藤町長 表敬訪問

双葉地方町村会の筆頭監事である広野町長を表敬訪問しました。(会長・副会長は公務のため出張不在)

双葉地方8町村の復興創生について、ハンフォード地域の事例を踏まえながら意見を交わされました。

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午前10時30分:広野町復興企画課職員へのインタビュー

実際に復興に携わってきた職員へのインタビューとして、広野町復興企画課の小松課長、阿部さんにお話を伺いました。これまでに広野町で行ってきた復興創生の歩み、また今後の展望について意見を交わしました。当日同席した双葉地方町村会の職員からは、広域的な浜通りの復興創生における大きな目標とした『ふたばグランドデザイン』についてご説明をいただきました。

午後2時30分:公開セミナー(2日目、富岡町学びの森)

1日目に東日本国際大学で開催した公開セミナーですが、2日目は双葉郡富岡町にある「学びの森」において開催いたしました。参加者は福島県やJAEA、イノベーション・コースト構想推進機構、また地元の高校教諭など非常に多岐に渡る分野から、計20名の参加でした。当日は、アメリカから急遽帰国された大西福島復興創世研究所所長が会場に駆けつけ、福島復興にかける思いを中心にご挨拶していただき、セミナーを締めくくりました。マーク氏と大西所長はどちらも実際に米国ハンフォード地域に位置する国立パシフィックノースウェスト研究所で30年以上も廃炉や環境回復に携わってきたこともあり、説得力と重みのある話に参加者も頷きながら耳を傾けていました。

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11月8日(金)

午前10時:ふたばいんふぉ 平山氏との面会

最終日には、双葉郡のインフォメーションセンターとして民間団体が運営する「ふたばいんふぉ」を訪問し、代表の平山氏からお話を伺いました。単なるアーカイブ施設というだけではなく、住民目線で感じたことを自ら発信することで、よりダイレクトに双葉郡のリアリティをお届けでき、また地元住民の集う憩いの場にもなっているようでした。

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午前11時:東京電力廃炉資料館 視察

施設内の展示についてご案内いただき、最後に鶴岡館長よりお話を伺いました。

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午後1時:学校法人昌平黌 緑川理事長との面会

今後長きにわたってハンフォード事業を共に進めていく強い絆の証として、緑川理事長よりマーク氏に昌平黌の宝である建学の精神「義を行い以て其の道に達す」(山岡荘八初代名誉学長)の掛け軸が送られました。

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午後3時:いわき市内視察

最後に、いわき市の観光名所である白水阿弥陀堂といわき市石炭・化石館を訪れました。

 

吉村学長がエジプト考古省より表彰 エジプトと日本の友好に貢献

エジプト・カイロで開催された第12回国際エジプト学者会議の席上、エジプトアラブ共和国考古省より、本学の吉村作治学長がICE(International Congres Egyptlogists)Awardを受賞しました。

同会議は4年に一度開催される国際会議で、世界各国から専門家が集まり、様々な研究発表が行われるものです。今回、吉村学長の半世紀に渡るエジプト考古学の成果やエジプトと日本の友好のために貢献したことが評価されての受賞となりました。

今後も本学エジプト考古学研究所の活動にご期待いただければ幸いです。

 

こちらもご覧ください↓

「吉村作治のエジプトピア」http://www.egypt.co.jp/

 

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撮影:駐エジプト全権特命大使能化正樹閣下 ※掲載している写真の無断転載を禁じます。

 

「人間力の育成」で漫才師である林家まる子氏、林家カレー子氏が講演

東日本国際大学の全学共通授業「人間力の育成B」において11月2日(土)、親子でもある林家まる子先生、林家カレー子先生をお招きし、「ピンチはチャンス~楽しく生きるヒント~」とのタイトルでご講演を行っていただきました。

 

林家まる子先生と林家カレー子先生は防災士の資格をお持ちで、環境問題を笑いと共にわかりやすく伝える環境漫才でも有名です。ご講演は本年9月1日の防災の日にYoutubeでリリースされたばかりの『防災ソング 今すぐはじめよう』などの歌を織り交ぜながら、終始、会場全体が一体となった楽しい雰囲気に包まれていました。前半は環境問題に大切な3つのR(リデュース、リユース、リサイクル)、環境問題に取り組む心構えABC(A当たり前のことを Bバカにしないで Cちゃんとやる)など、誰もが覚えられるようにかみ砕きながら、環境問題の大切さについてお話いただきました。後半では芸人になってからのたくさんの苦労話を通じて、諦めないで最後までやり続ける姿勢、また、絶対に負けないとの決意が道を切り開いていくとの熱いメッセージを届けて下さいました。

 

最後には師事をされた落語家の林家三平師匠の座右の銘であった「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を紹介されながら、人を尊敬する気持ちの重要さについてもお話をいただきました。笑いあり、感動あり、笑顔の花咲く素晴らしい時間となりました。

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