本学の卒業生が福島民報の記事に取り上げられました

本学の福祉環境学部の卒業生で、今年の4月から福島県警で勤務している齋藤雄河さんが、5月12日の福島民報社会面の記事に取り上げられました。

 

以下は、福島民報 2015年5月12日 社会面掲載 の記事の引用となります。


県警初任科生使命受け継ぐ 初の不明者捜索

東日本大震災から4年2カ月の11日、4月に県警察学校に入校した初任科生52人が初めて不明者捜索に臨み、記憶の風化が懸念される中、震災対応の厳しい現場を体験した。浪江町請戸地区では被災経験から警察官を志した斎藤雄河(ゆうが)さん(22)の姿があった。「自分を助けてくれた警察官のように、被災者に寄り添い続けたい」。目指すは誇りと使命感に満ちた、あの日の背中だ。

くわを持つ手に力が入る。草が生い茂る地面を何度も掘り起こした。

震災対応が続く警察官の使命を学ぼうと初任科生が参加した11日の一斉捜索。斎藤さんも先輩警察官に付いて不明者の手掛かりを探した。

斎藤さんはいわき市出身。高校卒業後間もなく起きた東日本大震災で市内植田町の自宅が津波で全壊した。家族3人で高台に避難したが、道路が冠水し、逃げ場がなくなった。家族を救ったのは、地元いわき南署の男性警察官だった。黙々とボートで家族を同署まで運ぶと、ひと言。「津波はここまでは来ないですよ」。さりげない笑顔に触れ、ようやく安心できたという。経験が警察官になる思いを一層強くさせた。

進学先の東日本国際大では国体にも出場した柔道で心身を鍛える一方、ボランティアでいわき中央署の防犯活動に参加した。繁華街の巡回や自転車の盗難防止対策などに触れ、住民の安心と安全を守る苦労や安全が守られる過程を目の当たりにした。

一斉捜索で訪れた請戸地区の復興は進んでいなかった。自分にできることは何か。自問自答し、復興を治安面で支える決意を胸に刻んだ。警察学校での鍛錬は9月まで続く。「被災者に寄り添い、気持ちを酌み取れる警察官になる」と誓った。


■現金、診察券など11点拾得

11日に本県沿岸部で行われた一斉捜索には県警をはじめ福島海上保安部、双葉地方広域消防本部などから約420人が参加した。

浪江町の請戸漁港周辺では初任科生を含む230人が作業した。東北大の協力を得て、地中レーダーで反応があった地点をスコップやくわで掘り起こすなどして丁寧に調べた。県警本部災害対策課によると、現金、診察券など11点の拾得物があった。


■県警、若手に記憶継承へ 震災時の映像教材用に編集

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の記憶の風化が課題となっているが、復興の最前線を担う県警にとっても風化の食い止めが大きな課題となっている。ある県警幹部は「時間がたつにつれて震災と原発事故の記憶が薄い年代が増える。いかに私たちの思いを継いでいくかが課題」と語る。11日の捜索に参加した初任科生の多くも震災当時、未成年だった。

県警は震災直後から記録し続けた映像を教育用素材に編集し、若手警察官らへの指導教材として活用を始めたほか、被災地での救助・救援活動に当たったベテラン警察官から体験談を開くなど若手警察官への教育を強化している。今後もこうした取り組みを継続しながら使命感の強い警察官を育成していく。


 

 福島民報からの引用は以上となります。齋藤雄河さんの在学時のインタビューも併せてご覧ください。